
形成外科
形成外科
形成外科は、ケガ・やけどの治療だけでなく、生まれつきの形態異常(体の形の違い)や、病気・ケガによる整容面の問題を、外科的な方法も用いながら機能と見た目の両面から改善する診療科です。顔から足先まで全身が対象となり、特に体の表面に関する治療を幅広く行います。
性別や年齢を問わず、全身の見た目や機能に関する様々な問題に対応し、患者様の生活の質(QOL)向上を目指すべく様々な治療を行っております。お身体の外見や機能に関するお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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治療を終えた患者さんの笑顔を見ることが、私たちにとって何よりの喜びです。
お悩みやご不安がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
傷の治療は、縫う必要がある傷も、そうでない傷も形成外科の専門領域です。 特に、縫合が必要な傷は、他の診療科のクリニックでは対応が難しい場合があります。
形成外科は、傷をきれいに縫合し、できる限り目立たなく治すことに特化した診療科です。 当院では、日本形成外科学会専門医の院長が、細かく丁寧な処置を行い、傷ができるだけ目立たないように治療いたします。
また、大型病院と同等の手術機器を完備しており、安心して処置を受けていただけます。受傷から時間が経つと、傷をきれいに縫い直すことが難しくなるため、できるだけ早めの受診をおすすめします。
傷の種類 | 原因 | 特徴 |
---|---|---|
切創(切りきず) | ガラス片や刃物などの鋭利なもので切れた傷 | 出血が多い、神経・血管・腱の損傷を伴うことがある |
擦過傷(すりきず) | 道路や摩擦などにこすってできるすりむき傷 | 浅いが異物(砂やゴミ)が入りやすい |
裂挫創 (皮膚が裂けたきず) | 鈍的外傷で皮膚が裂けた傷 | 傷口周囲の損傷が大きい |
刺創(刺しきず) | 鋭利なものが突き刺さってできる傷 | 小さく見えても奥が深く、異物が残ることがある |
咬傷(咬みきず) | 人や動物に咬まれた傷 | 感染リスクが高い(細菌が入りやすい) |
ご来院後、すぐに診察や処置が必要となる場合が多いため、スムーズに対応できるよう、事前にお電話でお問い合わせください。
電話番号:043-306-3790
日常生活でよく見られる外傷のひとつが、やけど(熱傷)です。 熱湯、アイロン、暖房器具、蒸気が出る電化製品など、身の回りにはやけどの危険が多く潜んでいます。
やけどは、皮膚に高温の液体や固体が一定時間以上接することで起こり、火炎や爆発によって発生することもあります。
また、比較的低い温度(44~60度)でも発生する「低温熱傷」、酸やアルカリ溶液による「化学熱傷」、家庭電源や落雷による「電撃傷」などもあります。 特によく見られる原因として、
・やかんやポットのお湯、てんぷら油、お茶やコーヒーなどの高温液体 ・アイロン、ストーブなどの熱い固体の接触 が挙げられます。
また、幼児のやけどでは、炊飯器やポットの蒸気噴出口、ヒーターの吹き出し口に触れてしまうケースが増えています。 やけどの深さによって、Ⅰ度~Ⅲ度の熱傷に分類されます。
熱傷の深達度 | 症状 | 予後 |
---|---|---|
I度 | 皮膚が赤くなり、ヒリヒリする。水ぶくれはできない。 | 数日で自然治癒、傷あとなし |
II度(浅達性真皮熱傷) | 皮膚が赤く腫れ、水ぶくれができる。ヒリヒリと強い痛みがある。 | 2週間程度で治癒、傷あとはほぼ残らない |
II度(深達性真皮熱傷) | 皮膚が白っぽくなったり赤くなったりする。部分的に感覚が鈍くなり、水ぶくれができる。 | 3〜4週間以上で治癒、傷あとが残ることが多い |
III度 | 皮膚が白や黒くなり、乾燥してカサカサする。神経が損傷するため痛みを感じないこともある。 | 皮膚移植が必要、傷あとが残り、拘縮が起こる可能性がある |
やけどの治療は形成外科の専門分野です。当院の院長は長年、熱傷学会に所属しており、救急の分野でも専門的な治療を行ってきております。適切な治療を受けるためにも、お早めにご相談ください。
皮膚にはさまざまなしこりやできものが生じることがあり、これらを総称して『皮膚腫瘍』と呼びます。皮膚の表面にできるものだけでなく、皮膚の下にできるものもあります。
粉瘤は『表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)』とも呼ばれ、体のどこにでもできる良性の皮膚腫瘍です。最も頻度の高い皮膚腫瘍の一つとされています。
皮膚の上皮成分が袋状になり、その中に垢や脂がたまってできるのが粉瘤です。はじめは数ミリ程度の小さな盛り上がりですが、徐々に大きくなり、数センチほどの半球状になることもあります。放置するとゆっくりと大きくなり、感染が起こると痛みと共に赤く腫れ、皮膚が破れて膿が排出されることがあります。
また、膿を出そうとして圧迫すると、袋が破れて脂肪組織内に散らばり、慢性化する恐れがあります。そのため、無理に内容物を排出せず、早めの受診をおすすめします。
粉瘤は気づいた時に早めに除去することで、小さいうちに対処でき、傷も最小限に抑えられます。感染のリスクも避けられるため、お気軽にご相談ください。
色素性母斑・母斑細胞母斑とも呼ばれ、大きさや形、色にさまざまな種類があります。
平坦なものや盛り上がったもの、黒いものや茶色(褐色)のものなどがあり、生まれつきのものもあれば、後からできるものもあります。
小さな色素性母斑は悪性化することはほとんどありませんが、ほくろが次第に大きくなる、色の濃淡がある、形が左右対称でない、境界が不明瞭、傷ができて治らない
などの変化がある場合は、悪性化の可能性があるため、早めに形成外科を受診してください。
脂肪腫は、皮下に発生する良性腫瘍の中で最も多くみられるものです。 体のどこにでも発生しますが、背中、肩、首(頸部)
にできることが多く、上腕、臀部、大腿などの四肢にもみられることがあります。痛みなどの症状はほとんどなく、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして認められます。
大きさは数ミリ程度の小さなものから、直径10センチ以上に及ぶものまでさまざまで、まれに多発することもあります。脂肪腫はゆっくりと大きくなることが多いですが(1年に1cm程度)、急速に大きくなる場合は「脂肪肉腫」という悪性腫瘍の可能性もあり、見た目だけでは区別が難しいため、摘出して病理検査を行うことが推奨されるケースがあります。
当院では、脂肪腫の手術にも対応しており、大きさによっては当院での治療が可能です。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
石灰化上皮腫は、皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性腫瘍の一つです。発生の原因ははっきり分かっていませんが、毛根にある毛母細胞を起源とする腫瘍です。比較的若い人、特に小児に発生しやすく、まぶたや腕、首などにできることが多いとされています。皮膚の直下に石のように硬いしこりを触れるのが特徴で、ほとんどの場合無症状ですが、時にかゆみや圧痛(押すと痛い)
を感じることもあります。触ると表面が凸凹しており、皮膚の下で動く(可動性が良好)ことが多いですが、大きなものや可動性が悪いもの、皮膚表面が破れてしまったものでは、悪性腫瘍との鑑別が難しくなることがあります。石灰化上皮腫はゆっくり成長することが多いですが、大きくなってきた場合は早めの受診をおすすめします。当院でも診察・治療が可能ですので、お気軽にご相談ください。
稗粒腫(はいりゅうしゅ/ひりゅうしゅ)は、2~3mmほどの白く小さなできもので、目の周りにできやすいですが、顔のどこにでも生じることがあります。
産毛が生える毛穴に角質が詰まることや、汗腺由来の角質が原因とされています。ある程度の大きさになると、針で小さな穴を開けて摘出することが可能です。当院でも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
脂線母斑は、黄色調を呈する母斑(あざ)の一種で、生まれつき頭部に発生することが多いです。頭皮にできると、その部分には毛が生えず、成長とともに大きくなり、次第にイボ状に盛り上がったり、腫瘤ができたりすることがあります。小児にも見られることが多いのが特徴です。以前は脂線母斑の悪性化リスクが高いと考えられ、早期の切除が推奨されていました。しかし現在では、以前考えられていたほど高くはないとされています。それでも、リスクがゼロではないことや見た目の問題を考慮し、多くの場合、幼少期のうちに手術を検討します。当院でも診察・治療が可能ですので、お気軽にご相談ください。
デルモイドシストとも呼ばれ、眼や鼻の周囲、耳の後ろ、口腔底などの顔面領域に発生しやすい円形の良性腫瘍です。全身のどこにでも発生する可能性がありますが、特に目の上の外側(まぶたの外側の骨のあたり)にできることが多く、出生後早い段階で見つかることが多いとされています。
一般に痛みはなく、成長はほとんどないか、ゆっくり進行するのが特徴です。腫瘍の内部には毛髪や脂質が含まれ、チーズ状またはクリーム状の内容物を持つことが多いです。まれに、頭蓋内へ連絡している場合もあります。
治療は手術による摘出が原則であり、嚢腫が皮下に限局している場合は単純摘出が可能で、再発のリスクも低く良好な結果が得られます。しかし、脳内への連絡が疑われる場合は、CTやMRI検査を行い、適切な手術方法を選択する必要があります。年齢や腫瘍のサイズによって、治療を行う医療機関が異なる場合があります。
当院でも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)は、「老人性イボ」や「老人性疣贅(ゆうぜい)」とも呼ばれ、中高年の方に多く見られる良性の皮膚病変です。皮膚の表面が徐々に厚くなり、少し盛り上がった茶色~黒色のざらついたできものとして現れます。
この病変は顔や首、手足の甲などの紫外線が当たりやすい部位にできやすいですが、全身のどこにでも発生することがあります。シミと混じって存在することが多く、もともと平坦だったシミ(老人性色素斑)が、盛り上がって脂漏性角化症に変化することもあります。
自然に消えることはなく、加齢とともに増えていく傾向があります。時々かゆみを伴うこともありますが、悪性化のリスクは通常の皮膚と変わりません。
治療法は、液体窒素、レーザー治療など多岐に渡ります。当院では保険・自費診療のどちらでも対応が可能です。お気軽にご相談ください。
異物肉芽腫とは、体内に長期間分解されずに残った異物が原因で、慢性的な炎症を起こし、しこり(肉芽腫)を形成する病変です。異物の原因には、外傷による砂や木片、手術で使用された医療材料、美容外科手術で注入された異物などが考えられます。特にお子さんでは、木片によるものが多くみられます。
治療は異物と肉芽腫の摘出が原則で、異物を取り除かないと炎症が続き、再発する可能性があります。ただし、美容外科手術による非吸収性の注入物などは、整容面の理由から完全に摘出できない場合があり、減量手術となることもあります。
異物肉芽腫と癌の明確な関連は証明されていませんが、長期間放置し、潰瘍化を繰り返すと癌化の可能性が否定できないため、できるだけ早期の異物摘出が推奨されます。当院でも診察・治療が可能ですので、お気軽にご相談ください。
耳下腺腫瘍とは、耳の前方に位置する耳下腺に発生する腫瘍です。耳下腺は、おたふく風邪で腫れることで知られる唾液を作る臓器の一つです。耳下腺腫瘍は腫瘍全体の約3%を占め、発生頻度は10万人に1~3人程度とされています。
耳下腺腫瘍の約80%は良性で、その中でも多型腺腫が最も多く、全体の70~80%を占めます。良性の耳下腺腫瘍は、一般的にゆっくりと増殖するため、痛みなどの自覚症状はほとんどなく、腫瘤を触れる以外に症状がないことが多いです。数ヶ月から数年の経過で耳の前にピンポン玉のようなしこりが現れ、それに気づいて病院を受診するケースが多くみられます。
良性か悪性かの判断や組織型の確定診断には、手術で腫瘍を摘出し、組織検査を行う必要があります。そのため、耳下腺腫瘍の治療には手術が必要となりますが、耳下腺の内部には顔面神経が通っており、摘出手術の際には神経を傷つけないよう慎重な技術が求められます。まずは診断を正しく行うことが重要ですので、気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
顎下腺とは、耳下腺に次いで2番目に大きな唾液を作る腺で、顎の下に位置します。
この顎下腺に発生する腫瘍を顎下腺腫瘍と呼び、良性腫瘍が約45%、悪性腫瘍が約55%と、他の唾液腺腫瘍と比べて悪性の割合が高いのが特徴です。
初期症状としては、良性・悪性に関係なく、顎の下に可動性のあるしこり(腫瘤)が生じます。
しかし、悪性の場合は速やかに大きくなり、周囲の組織へ広がることがあります。進行するとしこりが周囲の組織と癒着し、動きが制限されることがあり、顎の下から口の底(口腔底)にかけて腫れが目立つこともあります。
顎下腺腫瘍は悪性である可能性が半数以上を占めるため、早期の手術と組織検査による確定診断が重要です。速やかに適切な治療を行うため、必要に応じて連携する高次医療機関をご紹介いたします。
まずは正確な診断を行うことが大切ですので、気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
あざには、生まれつきのものや、転んだりぶつけたりした後にできる内出血など、さまざまな種類があります。
それぞれに適した治療法や開始のタイミングが異なり、保険が適用されるかどうかもケースによって変わってきます。
当院の院長は、千葉大学病院で血管腫・レーザー外来を専門的に担当してきた経験があり、多くの難症例に携わってきました。専門的な知識と経験をもとに、治療だけでなく気持ちにも寄り添ったご提案をいたします。どうぞ安心してご相談ください。
赤あざ | 単純性血管腫・ いちご状血管腫 |
---|---|
茶あざ | 扁平母斑 |
青あざ | 太田母斑・ 異所性蒙古斑 |
外傷性色素沈着 | 擦り傷・やけどの痕 |
乳児血管腫とも呼ばれ、生まれた直後には見られないことが多く、生後まもなく赤い斑点が出現し、数ヶ月のうちにいちごのように赤く盛り上がっていきます。多くは1歳ごろに大きさのピークを迎え、その後ゆっくりと赤みが引いていきます。
自然経過でも軽快することが多いですが、その間に皮膚が引き伸ばされることで色素沈着が残ることがあります。部位によっては見た目が気になることもあり、成長の中で気持ちの負担につながることも考えられます。
こうした変化を予防するためには、血管腫が大きくなり始める前の段階で増殖を抑えることが大切です。治療を行う場合は、生後まもなくからピークを迎える前に始める必要があります。現在では、プロプラノロールの内服やレーザー治療により、赤みや色素沈着のリスクを軽減し、よりきれいな経過が期待できます。
単純性血管腫は、生まれたときから見られる赤い平坦なあざです。これは、血管が異常に増えて集まった状態で、自然に消えることはありません。時間の経過とともに、少しずつ色が濃くなったり、範囲が広がったりすることがあります。
部位や大きさによって経過には個人差がありますが、基本的にはゆっくりと進行する傾向があります。治療としては、レーザー治療や手術など、あざの状態やご希望に応じて選択されます。
当院の院長自身も単純性血管腫を持っており、同じ立場としての経験を活かしながら、治療だけでなく気持ちに寄り添ったご相談も大切にしています。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
扁平母斑は、茶色の平らなあざで、ほくろのように皮膚から盛り上がることはありません。そのため「盛り上がりのないあざ」という意味で、扁平母斑と呼ばれています。
多くは生まれつき見られますが、思春期に現れることもあります。思春期に出てきたものには毛が生えてくることもあり、発生時期によって特徴が異なります。
悪性化することはほとんどないため、治療は見た目の改善を目的に行われます。現在は主にレーザー治療が行われており、Qスイッチルビーレーザーなどが使用されます。まず1〜2回の治療を行い、効果が不十分な場合には手術療法を検討します。
ただし、すべての扁平母斑にレーザーが効くわけではありません。特に先天性のものでは、大人になってからの治療では再発することが多く、効果が出にくい傾向があります。一方で、小児期、とくに皮膚が薄い0歳児から治療を始めた場合には、良い反応が得られることが多いため、早期の治療が勧められています。
生まれつきのあざが気になる場合は、早めにご相談ください。
代表的な後天性の青あざには、顔にみられる太田母斑と、肩や上腕にできる伊藤母斑があります。太田母斑は、目の周りや頬など片側の顔に現れることが多く、特に思春期以降の女性に多くみられます。
これらのあざは自然に消えることはなく、治療にはQスイッチレーザー(ルビー、ヤグ、アレキサンドライトなど)を使用します。レーザーの種類によって、効果の現れ方や必要な治療回数が異なります。
治療には健康保険が適用されますが、回数や範囲によっては自費診療となることもあります。 あざの状態やご年齢に応じた治療をご提案いたしますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
蒙古斑は、生まれつき見られる青あざの一種で、生後1週間から1ヶ月頃に、お尻や背中の下部に青いしみのように現れます。日本人ではほとんどの新生児に見られ、通常は5〜6歳までに自然に消えるため、治療の必要はありません。
一方で、腕や脚など、お尻や背中以外の場所にできる蒙古斑を「異所性蒙古斑」と呼びます。こちらも多くの場合、学童期までに自然に薄くなりますが、なかには消えずに残るケースもあります。
特に、衣服で隠れない露出部に残る場合には、見た目が気になることによる精神的な負担を軽減する目的で治療を行うことがあります。
治療にはQスイッチレーザー(ルビー、ヤグ、アレキサンドライトなど)を用います。使用するレーザーの種類によって、治療の経過や回数に多少の違いがあります。健康保険が適用される治療ですが、レーザーの種類や回数によっては保険適用外となることもあります。
治療により多くの方で改善が見込まれますが、まれに軽い色素沈着や色素脱失(色が抜けて白く見えること)を残すことがあります。生まれつきのあざでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
準備中です。
やけど・すり傷・切り傷などの外傷や、手術後、にきび跡などで傷あとが残ることがあります。 深い傷ほど目立ちやすいですが、浅い傷でも広範囲に広がると整容面に影響を与えることがあります。
また、傷が治る過程で皮膚が再生(上皮化) すると、ツッパリ感(拘縮)が生じることがあります。 特に関節部分にできると、動かしにくくなるなどの機能障害につながることがあり、これを「瘢痕拘縮」といいます。
瘢痕の種類 | 特徴 | 経過・治療 |
---|---|---|
成熟瘢痕 | 時間とともに赤みが引き、肌色や白色に変化する傷あと | 自然に落ち着く |
肥厚性瘢痕 | 赤く盛り上がり、みみずばれのようになる。関節や首、胸・お腹の傷で起こりやすい | 1〜5年かけて炎症が落ち着くことがある |
ケロイド | 肥厚性瘢痕より炎症が強い。遺伝的要因が関与し、治療が必要になることが多い | 近年では治療が可能に。形成外科に相談を |
瘢痕拘縮 | 傷あとが硬くなり、関節などで引きつれを起こす。手術が必要になる場合もある | 放置すると悪化し、手術が必要になることもある |
傷あとは、ケガや手術、やけどなどによってできるもので、場所やでき方によって症状や治療法が異なります。痛みやかゆみなどの不快な症状が続いたり、見た目の悩みにもつながることがあります。
当院では、傷あとの状態やお悩みに応じて、以下のような治療を行っています。
眼瞼下垂症 とは、上まぶたの皮膚が緩むことで生じる加齢現象の一つです。 目を開いた時にまぶたが正常の位置よりも下がるため、上の視野が狭く感じたり、眠そうな印象を与えたりすることがあります。
また、まぶたを持ち上げようとすることで、まゆ毛の位置が高くなり、額のしわが目立つようになったり、頭痛や肩こりの原因になることもあります。
眼瞼下垂症は、手術によって症状の改善が期待できます。 主な手術方法は以下の2つです。
症状が中等度~重症の場合は、保険適用での手術が可能になります。 ただし、目の開き具合を評価する検査・診察が必要となるため、実際に受診していただく必要があります。
「最近、まぶたが重い…」と感じる方は、お気軽にご相談ください。
褥瘡(じょくそう)とは、同じ姿勢を長時間続けることで体の一部が圧迫され、血流が悪くなって皮膚や組織が傷んでしまう状態です。寝たきりの方や、痛みや動きにくさのある方、高齢で皮膚が弱くなっている方などに多くみられます。
発症しやすい部位は、仙骨(おしりの中央)、坐骨、かかと、腰骨、太ももの外側など、骨が出っ張っている場所です。 一度できてしまうと治療に時間がかかるため、予防がとても大切になります。
褥瘡ができた場合は、傷の深さや状態を評価し、軟膏や創傷被覆材、必要に応じて壊死組織の除去(デブリードマン)や手術(皮膚移植・皮弁形成)などを行います。形成外科では、局所の処置に加えて、栄養やリハビリなど全身の管理も含め、専門的に治療を進めていきます。
褥瘡でお困りの方、心配な症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
褥瘡は一度できてしまうと治療に時間がかかるため、予防が最も重要です。以下のような対策を日常的に行うことで、褥瘡の発症リスクを大きく減らすことができます。
体位変換
体圧分散用の寝具・
クッションの使用
栄養管理
スキンケア
皮膚は私たちの体を覆う最大の臓器で、けがなどで一部が傷ついても、自然に治る力(創傷治癒)が備わっています。
しかし、傷が深く「潰瘍」となり、さまざまな原因でなかなか治らない状態を「難治性潰瘍」といいます。これは専門的な治療が必要な状態であり、形成外科がその専門分野です。
難治性潰瘍の主な原因には、以下のようなものがあります。
特に下腿(すね・ふくらはぎ)にできやすく、進行すると生活に大きな影響を及ぼすこともあるため、できるだけ早い段階での対応が大切です。
治療は、まず「なぜ傷が治らないのか」を調べることから始まり、状態に応じて以下のような方法を組み合わせて行います。
治療方針は、症状や生活背景に合わせて相談しながら決定します。 なかなか治らない傷がある場合は、悪化する前に早めのご相談をおすすめします。
顔面骨とは、顔の形や機能を支えている骨のことで、非常に複雑な構造をしています。顔面骨の骨折は交通事故や転倒、スポーツ外傷などで起こることがあり、見た目や呼吸・視覚・咀嚼(そしゃく)などの機能に影響を与えることがあります。
特に骨折が起こりやすい部位は以下の通りです。
部位 | 説明 |
---|---|
前頭骨 | 額(おでこ)の骨 |
眼窩 | 目を納めている箱型の骨 |
鼻骨・篩骨 | 鼻とその奥にある骨 |
頬骨 | 頬(ほほ)を構成する骨 |
上顎骨 | 上の歯茎や鼻の付け根周囲の骨 |
下顎骨 | 下の歯茎とあごの骨 |
顔面骨骨折の治療では、ずれてしまった骨を元の位置に戻し、正しい位置で固定する手術を行うことがあります。骨の種類によっては緊急手術が必要になることや、1~2週間で骨がずれたまま癒合してしまうこともあります。
外見の変化や痛み、しびれ、噛みにくさなどの症状がある場合には、できるだけ早く形成外科を受診することをおすすめします。
巻き爪・陥入爪は、見た目や症状が似ているため混同されがちですが、実は少し異なる状態です。
この2つは同時に起こることもあり、原因としては深爪・合わない靴・足の清潔管理不足・爪白癬(水虫)などが挙げられます。 治療には以下の方法があります。
正しい爪切りやフットケアの指導、矯正器具(ワイヤーなど)による爪の形の改善を行います。※一部保険適用外となることがあります。
保存的治療で改善しない場合や、早期に症状を取りたい場合には手術を行います。爪の食い込みが解消されることで、痛みや腫れが改善します。
再発予防のためにも、日常生活でのフットケアや靴選びがとても大切です。お困りの方はお気軽にご相談ください。
腋臭症(わきが)は、わきの下から特有のにおいが出る状態です。においの原因は、アポクリン腺という汗腺から分泌される成分が皮膚の細菌によって分解されることで生じます。思春期以降に発症することが多く、遺伝や体質が関係しています。
治療方法には以下の2つがあります。
日常生活の見直しや制汗剤の使用、ボツリヌス注射、塩化アルミニウム外用、イオントフォレーシス、マイクロ波治療など。症状が軽度の場合はこれらで十分改善することもあります。
においが強く、保存的治療で効果が得られない場合に行います。わきの下の皮膚の裏側からアポクリン腺を除去する方法が一般的です。方法によっては腋毛が減少することもあります。
手術後はしばらく安静が必要で、腫れや皮膚のつっぱり、色素沈着、瘢痕が残る可能性もあります。
においの感じ方には個人差があるため、まずは状態を確認し、最適な治療法を一緒に考えていきます。においが気になる方は、お気軽にご相談ください。
乳房再建は、乳がん治療で失われた乳房の形を復元する手術です。再建を希望される場合は、乳がん手術前に乳腺外科の担当医に相談することをおすすめします。術後に相談しても問題ありません。
乳がん手術と同時に行う方法で、手術回数や費用が抑えられますが、精神的に不安定な時期に決断をしなければならないため、考慮する時間が少なく、満足度が低くなることもあります。
乳がん治療がひと段落した後に行い、十分に時間をかけて手術方法を決めることができ、満足度が高いことが多いです。
乳房再建は主に以下の方法で行われます。
乳房再建後、約6ヶ月〜1年を経て乳輪や乳頭の再建が可能です。再建方法には健側の乳頭を利用する方法や、医療用色素で色を付ける方法があります。手術は入院せずに行うことも可能です。
近年、乳房再建技術は進歩しており、美しい乳房が再建できるようになっています。これにより乳房喪失感が軽減され、精神的な負担が減ることでQOL(生活の質)の向上が期待できます。再建によって得られる精神的効果は非常に大きいものです。
再建方法や手術については、担当医とじっくり相談しながら決めることが大切です。当院では、今後、近隣の医療機関と連携しながら、日帰りでの乳房再建手術の実施を目指しております。
ただし、日帰り手術には適応や限界があるため、すべての方に適しているわけではありません。お一人おひとりの状態やご希望に合わせて、最も適した治療方法をご提案いたします。
必要に応じて、適切な医療機関へのご紹介も行っておりますので、まずはどうぞお気軽にご相談ください。
陥没乳頭とは、乳頭(乳首)が外に出ず、乳輪の内側に引き込まれている状態をいいます。見た目の悩みだけでなく、将来的に授乳がうまくできない原因になることがあります。
特に、妊娠・出産後も乳頭が出てこない場合、母乳がうまく出せず乳房が腫れて痛みを感じたり、赤ちゃんが吸えずに不機嫌になることもあります。こうした問題を防ぐためにも、早めの対応が大切です。
軽度の場合は、吸引器などを使った保存的治療で改善することがありますが、効果が不十分な場合は手術によって形と機能の改善を目指すことができます。
手術では、乳頭を外に出して再び陥没しないようにしながら、可能な限り将来の授乳機能を保つことを目標とします。症状の程度によって治療方法が異なりますので、お悩みの方はまずはお気軽にご相談ください。
形成外科では、生まれつきの形の異常(先天異常)に対する治療を行っています。代表的な疾患は以下の通りです。
唇や上あごに裂け目がある状態で、授乳や発音、見た目に影響します。出生後早期から段階的に治療を行います。
耳の前に小さな穴がある状態で、感染を繰り返すことがあります。感染が続く場合は手術で取り除きます。
耳の前に小さな皮膚のふくらみ(余分な耳)がある状態です。見た目の問題が主で、手術で簡単に切除できます。
耳が折れ込んでいたり、目立ちにくくなっている状態です。軽度であれば矯正具、必要に応じて手術で整えます。
指と指がくっついている状態で、皮膚だけの癒合や骨も連結している場合があります。成長を見ながら手術で分離します。
指が通常より多くある状態で、形や位置によって手術の方法が異なります。将来の機能を考慮して治療します。 お子さまの将来に関わる大切な治療ですので、気になる症状があればお気軽にご相談ください。
美容外科についてのページをご覧ください。
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